with Wine | 島之内フジマル醸造所
2024.10.31
【河端オススメワイン】
異例の高温が長く続いた今年の日本。農作物への影響も多大でニュースで流れてくる被害状況を見ると居た堪れない気持ちになります。
私達が育てるぶどうも少なからず影響はありましたが、何とか先日ワイナリーの仕込みも無事に終りほっと肩をなでおろしたところです。
さてソムリエ目線でのオススメワインを紹介するシリーズ。
第七回目は私達のワイナリー『島之内フジマル醸造所』のワインをご紹介させて頂きます。
◎Petit Petit 2023(微泡)
(産地)日本・大阪
(品種)デラウェア(大阪柏原市自社農園産)
(醸造・熟成)全房でメンブレンプレスの後、1000Lの開放樹脂タンク中17-20℃で2週間の自然発酵。発酵完了後、200Lのステンレスタンクへ澱引きして1カ月静置した後、シャンパン酵母EC1118を用いて瓶内二次発酵開始。約3か月後には二次発酵完了を確認し、さらに追加で5ヶ月の瓶内熟成を経てリリース。
造り手の田中敦志は2017年入社の40歳。
@lecielpur
元々お酒が好きで、国産クラフトビールやスコッチにハマっていたが、2016年に大阪城で開催されたフジマル醸造所も参加していた日本ワインのフェスで『デラウェア』のワインを飲んで、日本のワインの持つ個性に魅せられる。
日本ワインラヴァーの飲み手として過ごす中で、憧れの造り手にも出会い、もっとワインの事を知りたい、造る側になりたいと決意し就職先を探す中で、都市型ワイナリー島之内フジマル醸造所のフィロソフィーに感銘を受け、応用科学の特別研究員(博士課程の学生)から転身。
知的なメガネ男子で、見た目通りの真面目な性格でコツコツと着実に歩みをすすめ、昨年の4月に島之内フジマル醸造所の醸造長に就任。
現在は、ぶどう栽培の責任者、関連会社の媛囃子の製造責任者も兼任。ワイン・焼酎・ブランデー・リキュールの4酒類を作る社内きっての働き者です。
今回ご紹介するアイテムは、プチプチっと心地よい微発泡ワインを、330mlの飲みきりサイズのプチボトルで楽しんでいただきたいというコンセプトの『Petit Petit』。このコンセプトは大変好評で、お店での最初の一杯を3人くらいでシェアするのにピッタリですし、もちろん家飲みやアウトドアのお供にも。ちょうど良い飲み心地とサイズ感です。
色調はグリーンイエロー。
下部には澱がありますので徐々に濁りのある乳白色になっていきます。
粘性は中程度。
香りは黄金糖、青リンゴ、若草、新生姜、ヨーグルト、澱に近くなると白桃のニュアンス。
青リンゴのような爽やかで甘酸っぱい果実味、柑橘系の伸びやかな酸味。滑らかな泡感でスムースな飲み心地の軽やかなタッチの大人のラムネ的な印象。
ガス圧は2.8ほどでペットナットよりは少しだけ強めになっています。
飲用適温は6~8℃でしっかり冷やした方が良いと思います。
フルーツの香りが際立ち、酸味の印象もハッキリとしてフレッシュ感溢れる爽やかな印象になります。
おすすめのグラスの形状は口が小さめの縦長の白ワイングラスです。
ワインの特徴をシンプルにあらわしてくれて、バランス良く楽しめます。
上部の澄んだところはスッキリ爽やかに、下部の濁りのあるところは滋味深い旨味系で1本で味の違いもあって愉しいかと思います。
島之内フジマル醸造所のレストランでは名物料理の『彩り野菜のテリーヌ』に合わせてオススメしております。
旬のお野菜をそれぞれ適切な食感を感じられるように火入れし、昆布と鰹節から引いた濃い目の出汁で固めた目にも鮮やかな一皿。
瓶内二次発酵特有の、アミノ酸由来の旨味が出汁の旨味とリンクし、料理とワインの重さも丁度良く一体感が有ります。
またワインの酸味が差し込まれる事で野菜や出汁の美味しさがグッと増します。
親しみやすいテイストなのでご家庭の食卓にもオススメです。
私が実際に自宅で合わせて特に良かったのが、『寄せ鍋』、『サーモンフライ&エビフライ しば漬けのタルタルソース』です。
口の中ではじける泡感とサクサクとした衣の食感も愉しいですし、油分をほどよく流してくれて食がすすみます。しば漬けの程よい酸味が効いた甘酸っぱいタルタルソースとも同調していました。
無濾過無清澄なので瓶の中でゆっくりと複雑に変化していき、セラーでしばらく寝かせても面白いですし、また別の素敵な表情をみせてくれると思います。
島之内フジマル醸造所
店長 河端 浩史
@baccisan
ご購入は店頭または、下記のオンラインショップよりお願い致します。
勤続13年目になり、ずっとフジマルのセレクトと共に歩んできましたが、新たな試みとして『酒屋』目線ではなく、『ソムリエ』目線でのおすすめのワインをご紹介させて頂くことになりました。
皆様のワイン選びの助力になれば幸いです。
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