with Wine | ワインショップ&ダイナー FUJIMARU 東心斎橋店 スタッフブログ
2015.02.22
広島の地で古来から営まれ、今また時を経て復活させた技術と味わいがあります。
今回は先日訪問してきた二軒をご紹介をします。
第一回目は竹原市にある小笹屋竹鶴酒造さん。
ワインショップフジマルでもお世話になっています。
杜氏の石川達也氏に、仕込みの最盛期でお忙しい中ご案内いただきました。
「小笹屋」として製塩業を営んでいた竹鶴酒造は、享保18年(1733年)に酒造業を開始。 日本のウイスキーの父と称される竹鶴政孝も竹鶴家の生まれとして知られています。
脈々と続く酒造りの中、古くから保存してあった大きな木桶3本を再生、2009(平成21)酒造年度より、木桶仕込みを復活させる。
木桶は日本酒造りには欠かせぬものでしたが、現代の合理化の流れにより、ホーローやステンレスのタンクに取って代わられ、現在ではほとんど見られなくなっています。
生酛造りは、蒸したお米を専用の櫂(かい)で摺り合わせながら自然な乳酸発酵を促す酛(もと)を造ります。
そうして醸したお酒は、とても芳醇で柔らかな酸味が感じられる味わいに。
けれど自然な酵母発酵によるため、
今の科学をもってしても判明されていない事が沢山あるそう。
つまり、コントロールしにくいし、どんな仕上がりになるかわからない。
しかし石川氏はこう語ります。
『「わからなさ」が評価されることは、まずありません。因果関係の明確な製法が評価される風潮は今なお続いています。また、造られる酒も「わかりやすさ」に価値があるとされ、単純な香味が追求されてきました。しかしそれは、酒から「ロマン」が失われてしまったということではないでしょうか。
「わからないからこそ楽しいんです。」』
生酛造りは江戸時代末期に確立された最新鋭の技術。
石川さんは古文書や伝統に見る日本人の精神など、歴史や文化を辿り紐解きながら生酛造りを復活させています。
その姿はとても”旧い”ことをやっているのではなく、
新しいことに挑んでいると感じました。
「何を呑んだか覚えていないけどなんだか楽しかったな」
石川さんはそう思って欲しいと日々作られているそう。
お酒は作品ではなく、授かりものと。
私達はワイン屋ですが、こういった味わいもまた伝えていきたいと思います。
by.KIMURA
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