with Wine | ワインショップ&ダイナー FUJIMARU 東心斎橋店 スタッフブログ
2011.04.15
訪問したのは1月下旬。
すでに3カ月も経ってしまいましたね。
このワイナリーのことを書くには
色んな事を頭の中で整理しないと書いてはいけないような気がしてしまい。。。
見るだけでもゾッとするような急斜面。
ここを特殊学級の中学生たちが開墾したというのです。
もちろん機械などが入れる場所ではありません。
知的障害をもつ方たちが自分たちの手と足でこの畑を造り上げたのです。
それがココファーム&ワイナリー
ぜひこちらのホームページは見ていただきたい。
http://www.cocowine.com/index.shtml
もちろん話には聞いていたし、
美味しいことも知っていた。
でも、実際に畑を見たら涙が出そうになった。
『本当にここを?』
正直、信じられなかった。
でも、職員の方の話を聞いていくうちに
それが真実だということが理解できた。
ブドウだけでなく、椎茸の栽培や
カリフォルニアでのワイン造りの話など、
すべてが学生たちが人間らしく生きるための仕組みになっていました。
そして、日本の無機質な縦割り法律の狭間にありながらも
有志を中心としてワイナリーを設立し、
しっかりと経営していることに驚きを隠せませんでした。
それと同時にワイナリーとしてのスタンスも普通ではありません。
通常なら美味しいワインを造ろう、というのが一番の目標になるのでしょうけど
ここでは、彼らが仕事を続けるためには美味しいワインでなくてはならない、
というスタンスなのです。
ちゃんと経営をしていくには毎年売れるワインにならなければ
彼らの仕事がなくなってしまいますから。
また、ココファームが除草剤を使わない理由は
オーガニックを目指しているというよりも
彼らの草刈りという仕事を奪わないためなのです。
すべての視点が通常のワイナリーとは違う。
こういう角度からワインをみる機会はそうありません。
実はこれが私が訪問したかった理由でもあります。
ワインは嗜好品であり、決して安い飲み物ではありません。
日本ではまだまだ一部の人の飲み物であることも否定できません。
私はワイン屋として、このことがとっても気になるのです。
少子化、アルコール離れ、中毒性、、、
ワインを取り巻く環境は決して明るくありません。
私が人生を掛けているワインは社会に必要とされているのだろうか、
ごく僅かな人たちだけのものではいつか消されてしまうのではないだろうか、
本気でそんなことを考えることがあります。
そして、それならば社会に必要とされる存在になればいい、とも。
実はヨーロッパでは麻薬患者の更生施設が農場やワイナリーを経営してたりします。
毎日、朝早く起き、青空のもと汗をかき、働くことの喜びを知る。
もちろんモチベーションの低い素人が作業するので効率は悪く、コストはかさむ。
普通に出荷すればプロの農家さんには太刀打ちできない。
売れなきゃ結局は補助金だよりになって国民の負担になってしまう。
だから、ワインにすることにより付加価値をつけ、採算をキープする。
それが成功すればワインという嗜好品が
社会の必需品に変われるのではないかと。
そんなワイナリーが日本でもできないかと
大それたことを最初に思ったのはNZ時代。
でも、知らなかっただけで日本にすでにあったんですよね。
しかも、50年も前に。
日本って凄いね。
そして、もうひとつ大事なこと。
ココファームのワインを彼らを助ける気持ちで飲む必要はありません。
いわゆる慈善ワインではないのです。
プロとして断言できます。
彼らのワインは立派に競争力のあるワインです。
とってもピュアで綺麗なスタイルのキュベが多く、
理屈抜きに美味しいワインです。
ぜひ、お試しください。
コメントを残す