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2010.10.22

彼が遺してくれたもの

マルセル・ラピエールの悲報から10日が経ちました。
ブログやツイッターなどで見る限り
この1週間ほどで莫大な量のラピエールが消費されたのではないでしょうか?

これほど影響力があった造り手を私は知りません。
ヴァンナチュールが好きな方もそうじゃない方も
みんな彼を偲んでいたように思います。

一部のネットショップでこの機に乗じて売り出したところもあったようですが
私はそれでいいと思っています。
今まで興味のなかった方々にとっては
彼のワインと接するチャンスになるからです。

『人の死に乗じてワインを売るなんて。。。』

という声も上がっているようですが、
マルセルの人柄、半生を知る人なら、こう考えるのではないでしょうか。

『たくさんの人に飲んでもらうきっかけになって嬉しい』

亡くなられた方の気持ちを勝手に解釈することははばかられますが、
この10日間、マルセルと親しい方々のお話を沢山伺ううちに
私はそう考えるようになりました。

そして、沢山の方が飲むことによって
また彼のファンが増えることは間違いないでしょう。

私もこの10日間、彼のワインをよく飲みました。
ナジャではマルセルと一番近い距離にいたであろうエノコネクション竹下さんと。
マルセルで修業したこともある飯野さんのギャルソンドラヴィーニュでは
祥瑞の勝山さんを始め、Uguisuさんやアヒルストアさんたちと。

それぞれ6時間、4時間とマルセルのワインばかり飲み続けました。
でも、不思議なことに全く飽きないんですよね。
ず~っとガメイばかりなのに、それぞれにしっかりと個性があって
マルセルのワインという共通項はあっても、それらは全く違うワインでした。
こんなに飲み続けられる造り手は他にないでしょう。

今でも昨日のことのように覚えています。
カーヴ・デ・パピーユのオープンの際、
彼とパカレの来日に合わせてオープン日を調整したのはまだ去年の3月。
私とDAIGAKUさんの2号店のこけら落としイベントとしては最高のゲストでした。

まさかこんなに早く。。。とてもショックでした。

でも、彼にはマチューという素晴らしい後継ぎがいます。
竹下さんの話では、畑仕事が思うようにできないマルセルの為に
今年は例年以上に頑張って畑仕事をしていたようです。
『マルセルがいなくなったから美味しくなくなった。』と言われないために。。。

きっとマルセルの遺伝子は引き継がれ、
これからも素晴らしいワインを生み続けてくれることだと思います。
私は2010年のマチューが造るモルゴンが今から楽しみでなりません。

マルセル直筆です。
ユニソン藤木くんがコピーしてくれました。

そして、マルセルが敬愛していたオヴェルノワの造るヴァンジョーヌ。

『ワインとは何か?』を改めて考えさせられた日々でした。

 


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