with Wine | ワインショップ&ダイナー FUJIMARU 東心斎橋店 スタッフブログ
2010.06.16
色んな意味でお世話になっているカタシモワイナリーさん。
前にもちらっと書きましたが、
今年からカタシモワイナリーさんの管理する畑の一区画を
自分たちの手でお世話しています。
労働奉仕ということで、給料とかをもらっているわけではありませんし、
自分たちの醸造免許でやっているわけでもありません。
あくまでもカタシモワイナリーさんの中でボランティアという形でお手伝いさせていただいています。
ただ、造りにおいて、できるだけ自分たちの意志が反映されるような形にはなっていますし、
10a弱ぐらいのマスカットベリーAの畑なんですが、ほぼ自分たちだけで作業を行っています。
もちろん、ボルドー液の散布や病害虫のチェックはしてもらっていますが。
なので、ただのボランティア、という意識では働いていません。
成長具合にもよるのですが、私(藤丸)で週3~5日ぐらいは畑にいます。
あ、でも、お店の仕事もちゃんとしてますよ。
朝早く行って、お店が始まるころに戻ってきてます。
なぜ、こんなことを始めたのか?
発端をたどれば大学時代にまで遡ります。
私は学生時代に尼崎のワインバー Nadjaでアルバイトを始めました。
そこで得た経験は言葉にではできないぐらい広く深いもので、
今でも私の中に生き続けています。
Nadjaで出会ったワインたちは、どれも個性的で魅力あふれるものばかりでした。
「ラベルに囚われず、中身を感じなさい。」
マスターである米沢さんから、言葉で言われたことはありません。
でも、そう教えられてきたように思います。
このころ、私はまだ大学生でしたが、
先輩から譲り受けた、まだ薄っぺらいソムリエ教本がいつもカバンに入っていました。
ただ、どれだけ教科書を読もうとも、専門書を読もうともワインのことが理解できません。
ワインのことが知りたくて知りたくて。。。でも、情報も術もこの頃の私にはありませんでした。
一応、人並みに就職活動もしてみたのですが、志望理由が言えずに苦戦しました。
父親にも「将来何がしたいねん?就職どうするの?」と聞かれ
「ワインを勉強したい。だから、ワイン造りがしたい」と言ったら
「農家の息子でもない人間がどうやってワインなんか造れんねん!」
「ワインの仕事をしたかったら商社にでも入れ」と。
でも、なんか違う。。。
で、結局、唯一志望理由を自分にウソをつかず言うことができた飲食業に就職。
ワインを趣味の世界から仕事へと転換させた瞬間でした。
その後、サービス業の奥深さ、楽しさ、厳しさをドップリ体験することになりました。
ソムリエ資格も取り、ワインの勉強も沢山しました。
飲んで、勉強して、飲んで、勉強して、、、あ、先に飲んでばかりですが。。。
でも、駄目だったんです。
相変わらずワインのことが理解できない。
これだけやっても糸口すら見えない。
このままじゃ、駄目だ!と海外放浪にでる決意をすることになりました。
造っている現場に行けば何かわかるんじゃないかと。
結局、完全帰国までは2年半。
NZでは念願のワイン造りにも携わることができました。
ただ、得た結論は、
「ワインなんて一生掛っても理解なんてできない。」ということ。
ワイン産地を放浪する中、
美味しいワインを造る人は皆同じことを言ってました。
「ワインを理解するには、人の一生は短すぎる」
生まれたときから造り手になることが決まっているような人達ですら
ワインを理解することは無理だ、と言う。
じゃあ、私のような人間が理解しようとするなんて無理だ。
そして、そもそも理解する必要があるのか?
理解した先には何があるんだ?
そんなことよりも大切なことがあるんじゃ?
ふと振り返ると放浪していた間に
色んな方々に出会い、助けて頂いてました。
沢山のワインに出会い、感動を受けました。
私にはやらないといけないことがある!
そう信じて帰国、現在に至ります。
創業以来、人と人、人とワインを繋ぐくさびになるべく日々努力しています。
今ではアカデミーデュヴァンなどでワイン教育、情報発信や啓蒙活動もしています。
立場的に、人前でワインの話をする機会が増えました。
確かに僅かですがワイナリーやレストランで働いた経験もあります。
ワインの勉強も一生懸命しました。
でも、自分の中では「何か違う。」
私が話している内容はただの受け売りなんじゃないか?と思うようになったのです。
剪定はこうして、芽かきはこうして、収穫はこうして。。。
人前で話せば話すほど自分が薄っぺらくなっていくような気がしてきたんです。
あの頃と何も変わってないじゃないか!
これでは駄目だ、と暗中模索していた時に出会ったのが
カタシモワイナリーの高井社長でした。
ブログでも福井さんがアップしてくれてたのですが
羽山さんや福井さんが訪問した1週間後ぐらいに私も訪ねて行きました。
福井さんからワイン造りに関わらせて欲しいという話は軽くしていたのですが
初対面である上に、それまで何の接点もない方。
いきなり会って、本業の合間に面倒見れる畑を貸してくれとお願いするなんて、
どう考えても非常識ですよね。。。
で、面談。
話し始めて15分ほどで快諾。
その30分後には畑まで決まってしまいました(笑)
福井さん曰く、
「お前と高井社長ならそうなると思ってたよ」と。(←じゃあ、先に言えよ。緊張したやないか!)
畑はカタシモワイナリーが今年から世話することになった堂の内下の畑。
この畑はカタシモさんが管理する畑の中で一番状態が悪いらしい。
この話をしたときに
「そんな悪い畑、ボランティアでやらされて可愛そうやねぇ。
良い畑なんて、部外者には貸してくれへんやろう?」
と、ある方から言われました。
十年ぶりぐらいに人を殴りたい衝動に駆られたのですが
お客様のお店だったのでグッとこらえました。
誤解しないでください。
一番、ひどい区画をやらせてくださいと言ったのは私です。
なぜなら、私は美味しいワインを造りたいのではなく、
ワイン造りの勉強がしたいのです。
(もちろん美味しいに越したことはありませんが。笑)
なので、悪条件の区画の方がやることがいっぱいあるので
いろんな経験ができるんです。
また、ある方は、
「畑を改良して、良いブドウがとれるようになったら
畑を取り上げられて、またひどい所にまわされるんちゃう?」と。
みなさん、大前提を間違っています。
高井社長、そういうタイプの方ではありません!
多分、関わったことのある方ならわかって頂けると思いますが。。。
そして、またひどい所?
願ったり叶ったりです!
最初にお会いした時に高井社長にこう話ししました。
1年や2年で美味しいワインが造れるようになるとは思っていません。
ワイン屋という仕事をこれから死ぬまで続けるのですから
ワイン造りも10年、20年という単位で考えていますと。
いろんな区画を世話することによって
区画ごとの違いがわかるようになりますよね。
それこそ楽しみです。
大阪は昔、日本一のブドウ産地でした。
色んな経緯があって今は激減してしまいました。
しかし、今もその灯火を消さないよう頑張っている生産者の方がいらっしゃいます。
そして、消さないどころか個性あふれる美味しいワインも造られています。
海外や山梨あたりまで数日かけて行かなくても
市内からたった一時間弱で100年以上も続くワイン造りの文化を体験できるんです。
最近では、飲食店の方々も一緒に来てくれることが増えてきました。
自然の厳しさやワイン造りの大変さを感じてもらったり、
逆に生産者の方にも
どういう人がワインを売ってくれてるのかわかってもらえる良い機会になっています。
私たちの目指す、人と人を繋ぐくさびになるために努力していきたいと思います。
長々となりましたが、
こんな感じでワイン造り、スタートしています。
Commented by 他谷 at 2010-06-16 17:19 x
応援しています。楽しみです^^これからも色々教えてください!!
FUJIMARUの皆さんの意識の高さにいつも”気付き”をもらっています。ウチも頑張らないと・・・・
前にも書きましたが、そんな方々と仕事ができて光栄です。
あ、飲むほうもまたヨロシクです^^
Commented by ぱせみや at 2010-06-16 18:32 x
本当にFUJIMARUの皆さんは、前向きですよね〜。
僕も縁あって今年からボランティアで神戸のぶどう畑に通っているんですが、葡萄の樹と向き合って作業をしたときに、長年ワインを扱っていながら自分は何も分かっていなかったんだなぁと思いました。
またイチからやり直しだなぁとも。
わからないからいいんですよね。
また、いろいろと教えてください。
畑も連れてってくださいね。
Commented by びおふぇち at 2010-06-16 19:38 x
よりワインを知るための、だから
状態の悪い場所の方がいいかもしれませんね
状態が悪いところから改善する様子もわかるかもしれないし
カタシモはデラウェアのデザートワイン(かな?)が好きです。
持ち込んだ店に偶然居合わせたフランス人に飲ませたらびっくりしてました(もちろんいい意味で)
Commented by ponta at 2010-06-17 15:08 x
泣いてもーた。仕事中やのに…
Commented by wine-fujimaru at 2010-06-17 16:57
他谷くん、昨日は遅い時間まですいません。
パセミヤさん、毎度です。
意識が高いかどうか、前向きかどうかはわかりませんが、
ワインにだけは正直でありたいなといつも思っています。
そして、私がこうやって突っ走れるのも
いつも支えてくれている仲間がいるからです。
本当に感謝です!
Commented by wine-fujimaru at 2010-06-17 16:59
びおふぇちさん、こんにちわ。
次回は甲州も試してみてくださいね。
あ、今度はイタリア人に甲州のハナタレグラッパ飲ませてください!
きっとびっくりして火を吐くと思います。
(アルコール度数58度)
Commented by wine-fujimaru at 2010-06-17 17:01
pontaさん、こんにちわ。
仕事中にブログを読んではいけません(笑)
あまり辛気臭くしたくなかったので
どうやって書こうか悩んでたら2カ月経ちました。
結局は好きなだけ書いてしまったのですが。。。
また近いうちに。。。
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